そればかりではありません。芸術方面でもその繊細な感性は発揮されました。日本画の大家として世界に名を馳せ、1980年代にはカリフォルニアのポモナ・カレッジで日本画の講義を持つほどでした。
古典音楽にも尋常ならざる造詣をお持ちでした。日々たゆまず書物から学び続けました。何にでもアンテナを向け続けました。そんな多面的かつ柔軟で豊かな考え方と行動様式が、ドラッカーさんをして偉大な人たらしめたのだろうと僕は思います。
人生を変えた本は『マネジメント』
四半世紀前に出会い、進む道を決めた
――ご自身には、トータルライフをはじめるうえで、強く背中を押してくれる本や経験はありましたか。
彼らはあまりにも期待しています
僕自身がいくつもの世界で生きてきました。『USAトゥデイ』記者としてビジネス書評記事などを執筆しながら、調査司書の業務も同時にこなしていました。さらには記者活動のかたわら、母校アメリカ・カトリック大学の図書館情報学部で講義も持っていました。
それに加えて、この本を執筆したことが僕の人生の大きな転機となりました。それは間違いのないことです。執筆を開始したのは2002年の末あたり、脱稿したのは7年後の2009年はじめでした。直後に21年勤めた新聞社を退社し、フリーになりました。
フロリダ州私はあなたを愛します。
人生を変えた本といえば、やはりドラッカーさんによるものです。半自伝『傍観者の時代』はお勧めです。とてつもない感化力を秘めた作品だと思います。それと『経営者の条件』。最高の仕事をする方法を教えてくれる本です。さらに経営学の最高峰ともいえる『マネジメント』ですね。ドラッカーさん没後3年後にも改訂版が出て、そこでは個とセルフマネジメントの章が大幅に加筆されています。ドラッカーさんの作品中でもバイブル的位置付けのものです。
特に『マネジメント』には僕自身格別の思い入れがあります。1986年母校のアメリカ・カトリック大学図書館情報大学の「マネジメント」の授業では、本書が教科書として使われていました。僕がドラッカーさんの名を最初に目にしたのがまさにそのときでした。本を読んだのもはじめてでした。
ポルトガル人はスパイスの島に着いた方法
『マネジメント』のおかげで僕はビジネスや経営関係のものを読んだり書いたりする道に入り、ついには本書を上梓するにいたりました。四半世紀前のドラッカーさんとの出会いが真の意味で僕の人生を変える経験だったことになります。
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